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【基本を解説】電気の高圧受電と低圧受電は何が違う?(一般用電気工作物と自家用電気工作物)

タイトル

少しマニアックな話題ですが、電気主任技術者に関心のある方や、不動産を購入・管理しようとする方にとっては、重要かつ基本的な内容です。

すでにビルのオーナーや企業の設備担当者であれば、ご存じの方も多いかもしれません。

1.電気工作物の区分について

(1)電気工作物

「電気設備の技術基準の解釈」では、「工作物」について以下のように定義しています。

 「工作物」…人により加工された全ての物体

かなり広い範囲であることが分かります。
つまり、「電気工作物」とは、建物や変電室以外にも、キュービクルや発電機、太陽光パネルなども含むことになります。

経済産業省のホームページでは「電気工作物」について以下のように説明しています。

電気工作物とは発電、蓄電、変電、送電、配電又は電気の使用のために設置する工作物(機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路等)をいい、事業用電気工作物、一般用電気工作物があります。

(2)一般用電気工作物

電気事業法第38条では一般用電気工作物について定義していますが、簡単に言うと次のような意味になります。

一般用電気工作物とは「低圧で受電している電気工作物」のことです。

「低圧」とは交流600V以下の電圧のことです。

日本では低圧と言われる電圧は一般的に100Vと200Vが使われています。

以下に、低圧受電の流れを簡単に解説します。

・発電所で発電された電気は、数十万V(ボルト)の超高圧に昇圧され各地へ送られます。

・超高圧の電気は変電所で何度か降圧して、最終的に6600Vまで落とします。

・6600Vの高圧の電気は町中の電線を流れ、工場やビルへ送られます。(高圧受電)

・一般家庭や小規模店舗などでは、電柱の上の変圧器で電圧を100Vや200Vに落とした低圧の電気が送られます。(低圧受電)

・マンションなどでは、電力会社が設置した借室(電気室)やパッドマウント(変圧器を内蔵した箱型設備)で低圧の電気にして使えるようにします。(低圧受電)

低圧受電の場合、低圧へ変換する設備は東京電力などの電力会社が用意します。

つまり電力会社から低圧の状態の電気を受電する設備を「一般用電気工作物」といいます。

一般家庭や小規模店舗などがこれに該当します。

(3)事業用電気工作物

電気事業法38条第2項では、「事業用電気工作物」について以下のように定義しています。

この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。

そのままですね。一般用電気工作物以外は事業用電気工作物ということです。

つまり電気工作物には二種類あって、低圧で受電する一般用電気工作物とそうでない事業用電気工作物とがあります。

(4)自家用電気工作物

もう一つ、「自家用電気工作物」というものがあります。

電気事業法第38条第4項では、以下のように定義されています。

この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。

一 一般送配電事業
二 送電事業
三 配電事業
四 特定送配電事業
五 発電事業であつて、その事業の用に供する発電等用電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの

簡単に言ってしまうと、事業用電気工作物のうち電力会社の設備以外が自家用電気工作物ということになります。

(5)電気工事士との関係

自家用電気工作物と一般用電気工作物は、工事に関わる資格も異なります。

電気工事士法第3条には以下のように説明されています。(条文を簡略化しています)

第一種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない。

第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない。

つまり、電気工事士では第一種ならどちらの工事もできるけど、第二種では一般用電気工作物しか工事できないということです。

しかし例外的に、認定電気工事従事者認定証を持っていれば、自家用電気工作物の簡易な工事をしてよいとしています。

第二種しか持ってないけど、講習を受けるなどして認定電気工事従事者になれば自家用電気工作物の工事が制限付きでできることになります。

表にするとこんな感じです。

一般用電気工作物自家用電気工作物自家用の簡易工事
第一種電気工事士
第二種電気工事士××
認定電気工事従事者×

(6)電気工作物の区分のまとめ

電気工作物の区分をまとめると以下のようになります。

電気工作物
一般用電気工作物事業用電気工作物
自家用電気工作物特定の事業用電気工作物
住宅や小規模店舗などビル、工場、学校、病院など発電所や変電所など

気を付けたいのが、マンションでは住宅の電気は借室(電力会社の設備)から、共用部の電気は変電室(自家用電気工作物)から送っているという場合があります。

この場合、住宅は一般用電気工作物になるので、第二種電気工事士が工事しても問題ありません。

しかし、共用部については自家用電気工作物となるので、第一種電気工事士が必要ということになります。

2.自家用電気工作物の特徴

これから自家用電気工作物を所有・管理する方はどんな点を気にするべきなのでしょうか。

ここでは自家用電気工作物の特徴をいくつかご紹介します。

(1)電気料金は安い傾向

自家用電気工作物は電力会社から電気を高圧で送ってもらいます。

つまり、一般用電気工作物のように電力会社が手配している、借室やパットマウントというものはありません。

というより、こちら側で用意しなければなりません。

高圧の電気を受け取っても、照明や空調、コンセントなどは100Vや200Vで使います。

高圧の電気を100Vや200Vに電圧を落とすために、変圧器や付随する設備が必要になります。

電力会社から見ると、これらの設備を設置する費用やその管理にかかる費用が不要になります。

そのため、電気料金は低めに設定されることが多いです。

(2)電気主任技術者の選任が必要

自前で変電設備を用意する場合、その管理には専門的な知識が必要です。

そのため、電気事業法第43条では、事業用電気工作物には主任技術者を選任しなければならないとしています。

しかし、電気主任技術者の試験は難易度が高く、すべての自家用電気工作物を管理をする人が取得するのは難しいです。

そのため、現在は9割以上の自家用電気工作物で主任技術者業務を専門の会社や個人に委託するという方法をとっています。(外部委託制度)

これには委託料がかかるわけなので、電気代が安くてもこの分はコストとなります。

※私自身も、電気主任技術者の外部委託サービスを提供しております。

(3)変電設備の維持費がかかる

自家用電気工作物の場合、変電設備の維持にかかるコストは自分で負担することになります

古くなった変圧器の更新や、不具合の見つかった保護装置の交換などがその一例です。

また、主任技術者を外部へ委託した場合、その月々の点検費用や、年に一度停電して実施する年次点検の費用なども必要になります。

中には安い電気料金のメリットよりコストが上回ってしまい、一般用電気工作物へ変更するという方もいます。

しかし一般用電気工作物へ変更するのも、多額の費用が掛かります。

新たに物件を取得する方は、電気工作物の区分も気にしてみるとよいかもしれません。

3.まとめ

このように何気なく使っている「電気」ですが、その受電方法により区分があるのです。

一般用電気工作物は、高圧から低圧に変換する設備は電力会社側で用意してくれます。

一方、自家用電気工作物の場合は自分で用意し、維持管理する必要があります。

電気料金は安いかもしれませんが、維持費と比較して検討するのがよいでしょう

その維持費について、どんな費用がかかり、いくらくらいが相場なのか情報が見つからない人もいることと思います。

そのような方はぜひ、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。